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第2世代抗ヒスタミン薬の比較②:適応症・作用機序

皆さんこんにちは。さっちゃえです。
薬局経験20年程度の現役薬剤師です。
現場で働く薬剤師にとってプラスになる資料作りを意識してます。また薬剤師以外の医療職種の方にとっても分かりやすい資料を目指してますので、何かご要望がありましたらお問い合わせよりメッセージいただければ幸いです😊
プロフィールにもあるランニングですが、去年から走り始めて最近は月30kmくらい走ってます。
来年できればハーフマラソンにチャレンジしたいです🏃

前回は「第2世代抗ヒスタミン薬の比較①:用法用量」でしたが、今回は「第2世代抗ヒスタミン薬の比較②:適応症・作用機序」をテーマとしました。

それで今回の目次です。

はじめに

第2世代抗ヒスタミン薬は15種類以上あり、多くの科で多くの医師が処方されます。
そのため同効薬に変わった際に、患者から違いについて質問されることもあるかと思います。

アレグラとアレジオンの作用の違い?なんだっけ?

抗ヒスタミン薬で喘息に使える薬があるの?

抗ヒスタミン薬の作用の説明は「ヒスタミンの働きを抑えます」になるかと思います。もちろんそれが一番重要ですが、他の作用機序も理解することで患者への説明の幅が増えるのではと考えます。

今回の記事の目的
★第2世代抗ヒスタミン薬の適応症の違いを知る。
★第2世代抗ヒスタミン薬の作用機序の違いを知る。

第2世代抗ヒスタミン薬の適応症・作用機序一覧

先発薬名成分名
(一部)
適応症作用機序
ケミLTPILタキ
ザジテンケトチフェン       
ゼスラン/ニポラジンメキタジン         
アゼプチンアゼラスチン      
オキサトミド(後発のみ)オキサトミド       
レミカットエメダスチン        
アレジオンエピナスチン     
エバステルエバスチン          
ジルテックセチリジン        
タリオンベポタスチン        
アレグラフェキソフェナジン        
アレロックオロパタジン      
クラリチンロラタジン         
ザイザルレボセチリジン         
デザレックスデスロラタジン          
ビラノアビラスチン           
ルパフィンルパタジン          
アレサガテープエメダスチン           
☆適応症
鼻:アレルギー性鼻炎 、 蕁:蕁麻疹 、 皮:湿疹・皮膚炎・皮膚瘙痒症 、 痒:痒疹 、 喘:気管支喘息 、 ア:アトピー性皮膚炎 、 乾:尋常性乾癬 、 紅:多形滲出性紅斑
☆作用機序
ケミ:ケミカルメディエーター遊離抑制(拮抗作用も含む) 、 LT:抗ロイコトリエン、 P:抗PAF 、 酸:好酸球抑制 、 IL:インターロイキン抑制 、 タキ:タキキニン遊離抑制

第2世代抗ヒスタミン薬の適応症・作用機序のポイント

適応症:
喘息適応あり ➡ ザジテン、ゼスラン/ニポラジン、アゼプチン、アレジオン
アレサガテープ ➡ アレルギー性鼻炎のみ適応
●アトピー性皮膚炎適応あり ➡ アゼプチン、アレグラ
●尋常性乾癬適応あり ➡ アレジオン、アレロック
●多形滲出性紅斑適応あり ➡ アレロック
●痒疹適応あり ➡ アゼプチン、オキサトミド、レミカット、アレジオン、エバステル、ジルテック、タリオン、アレロック、ザイザル
作用機序:

作用機序は多種多様ですね。各作用機序の役割や影響については以下を参考にしてください。

ケミカルメディエーター抑制 ➡ ケミカルメディエーター(ヒスタミン、ロイコトリエン、PAF等)の働きを抑えることで種々のアレルギー症状を改善する。
抗ロイコトリエン ➡ マスト細胞や好酸球等で産生されるロイコトリエンを抑えることで、鼻粘膜拡張・血管透過性亢進・好酸球遊走を抑制し、鼻閉の改善等に働く
抗PAF ➡ マスト細胞や好酸球から産生されるPAF(血小板活性化因子)を抑えることで、好酸球活性化・血管透過性亢進・平滑筋収縮を抑制し、鼻閉の改善等に働く。
好酸球抑制 ➡ 好酸球を抑えることで、ロイコトリエンやヒスタミンの産生を抑制し、アレルギー症状の改善に働く。
インターロイキン抑制 ➡ T細胞から分泌されるインターロイキンを抑えることで、好酸球の機能を低下させる。
タキキニン遊離抑制 ➡ 知覚神経終末から遊離する神経伝達物質タキキニンを抑えることで、アレルギー性疾患の発症・増悪を抑制する。

まとめ

皮膚科領域の適応症の違いは薬局ではなかなか活用が難しいと思います。

ザジテン・ゼスラン/ニポラジン・アゼプチン・アレジオンは気管支喘息の適応がある、
アレサガテープはアレルギー性鼻炎しか適応が無い、

が覚えておきたいポイントですね。

作用機序は上に書いた通りポイントしてまとめるのが難しいので、覚えるというより上記の一覧表をご利用ください。
ザイザルはジルテックの光学異性体で、またデザレックスはクラリチンの活性代謝物質であるため、それぞれ作用機序は同じと思いましたが、添付文書では違いがあったため添付文書通り載せてます。

特に春先には目にする機会が増えるのが抗ヒスタミン薬です。今回の記事が日々の業務のお役に立てばうれしいです。
解釈の誤りやご指摘がありましたらお問い合わせフォームよりコメントいただければ幸いです。
参考資料:《各医薬品の添付文書》《鼻アレルギー診療ガイドライン ー通年性鼻炎と花粉症ー》 

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