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抗アレルギー薬の比較⑤:薬物動態

皆さんこんにちは。さっちゃえです。
薬局経験20年程度の現役薬剤師です。
現場で働く薬剤師や薬剤師以外の医療職の方にもプラスになる資料作りを目指してます。
何かご要望がありましたらお問い合わせよりメッセージいただければ幸いです🤗
夏野菜の収穫が始まりました。ほっておくとすぐに大きくなりすぎてしまうのでこまめに畑に行かないと😋

今回のテーマは「抗アレルギーの比較⑤:注意点(薬物動態)」になります。
比較①は用法用量比較②は適応症・作用機序比較③は副作用比較④は注意点(禁忌・相互作用)になりますので、こちらもご活用ください。
抗アレルギー薬は以下の条件で抽出してます。

  • アレルギー疾患治療薬のうち抗ヒスタミン作用を主作用としていない。
    メディエーター遊離抑制薬、抗トロンボキサンA2薬、ロイコトリエン拮抗薬、Th2サイトカイン阻害薬
    ※ブロニカは販売中止が決まっているため含んでおりません。
  • 内服のみを対象とする。(注射薬、吸入薬、舌下錠は対象外)

それでは今回の目次です。

はじめに

「この薬は飲んでから何分で効くの?」
「何時間効果が続くの?」
といった質問は患者さんからよく受けますね。

肝機能とか腎機能が悪くても使えるんですかね?
用量は減らさないとダメなんですかね?

抗アレルギー薬は自覚症状に対して処方されるので作用時間については気になるところですね。
また高齢者にも処方されることが多いので代謝や排泄の理解も必要ですね。

今回の記事の目的は
★抗アレルギー薬の作用発現時間、作用持続時間の目安を知る。
★抗アレルギー薬の肝機能低下、腎機能低下時の対応を知る。
になります。

薬物動態一覧

大分類先発薬名成分名
(一部)
tmax
(時間)
t1/2
(時間)
定常状態
到達時間
肝機能低下・腎機能低下
時の注意点
メディエーター
遊離抑制薬
リザベントラニラスト25.32日
ケタスイブジラスト4123日
アレギサール/ぺミラストンペミロラスト1~1.74.3~4.72日
抗TXA2薬ドメナンオザグレル1.32.8なしGFR15~60:1日200~400mg
GFR15以下:1日200mg
ラマトロバン(後発のみ)ラマトロバン1.83.9なし
LT拮抗薬オノンプランルカスト5.26.42日
キプレス/シングレアモンテルカスト3.98.5なし
Th2サイトカイン阻害薬アイピーディスプラタスト3.46.22日
※t1/2
 青字としている薬の添付文書にあるt1/2は「Cmaxから血中濃度が半分になるまでの時間」でした。
 そのためtmaxとt1/2を足して「服用してから血中濃度が半分になるまでの時間」を手計算してます。

※定常状態到達時間
 オノンについてはインタビューフォームにも表記がなくメーカーDIに確認しました。

※代謝・排泄注意点
 ドメナン錠の腎機能低下時の用量については、日本腎臓病薬物療法学会作成の「腎機能低下時に最も注意が必要な薬剤投与量一覧(2024年4月1日改訂・37版)」より引用してます。

まとめ

どの薬もインタビューフォームに作用発現時間や作用持続時間のデータがありませんでした。
作用時間に関する説明はtmaxやt1/2や定常状態到達時間を使う必要がありますね。

例えばリザベンであれば、
「飲み始めて2時間で血中濃度が一番高くなるので、それが効果があらわれる目安になります」
「飲み始めてから血中濃度が半分になるのが5時間ちょっとです」
「飲み始めて2日で血中濃度が安定するので作用が一定になります」
といった説明ですかね。

tmaxやt1/2といった血中濃度の推移と薬の効果が相関しないこともあるので注意しましょう。

肝機能低下や腎機能低下時に用量を考慮しなければならない薬はドメナンのみということが理解できました。

今回の記事が日々の服薬指導や薬の理解のお役に立てばうれしいです🤗
解釈の誤りやご指摘がありましたらお問い合わせフォームよりコメントいただければ幸いです🤗
参考資料:《各医薬品の添付文書・インタビューフォーム・腎機能低下時に最も注意が必要な薬剤投与量一覧(2024年4月1日改訂・37版)》

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